※ 2025/26シーズンの決算は未発表(2026年6月時点)。移籍費・出場大会・スポンサー情報をもとにした推計記事。データ出典:Transfermarkt / Swiss Ramble / 各種報道。
今回のテーマ
2025/26シーズン、スロット監督体制2年目のリバプールはイサク・ヴィルツ・エキティケ・ケルケズ・フリンポンと大型補強を敢行。総投資額は£388.6m(ネット支出£225m)に達した。
結果はPL5位、CLベスト8。スロットは解任され、後任にはイラオラが就任する。
では財務的には「どんなシーズン」だったのか。決算発表前だが、わかっている情報からざっくり試算してみる。
① 収入側:実は「過去最高更新」の可能性がある
放映権収入
| 要素 | 24/25 | 25/26(推計) |
|---|---|---|
| PL順位 | 1位 | 5位 |
| 欧州大会 | CL ベスト16 | CL ベスト8 |
| 放映権収入 | £263.7m | £257m(推計) |
PL順位が1位→5位に落ちた影響は大きく、5位リバプールのPL放映権は£181.8m(1位Arsenalの£198.7mとの差は約£17m)。一方、CL準々決勝はベスト16より賞金・放映権ともに増加(推計+£10m程度)するが、PLの落ち込みを完全にはカバーできないのでは。
商業収入:25/26は「商業元年」とも言える
ここが今シーズン最大のポイントだ。25/26シーズンに集中して新規スポンサーが加入した。
| パートナー | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| Adidas | キットパートナー移行(Nike→) | £60m+/年。Nike比で+£30m以上 |
| Tommy Hilfiger | ファッション・オフピッチ衣装 | 20年契約。2026年1月締結。世界のサッカークラブで初 |
| Haier | 家電メーカー・グローバルパートナー | 2025年9月加入。PSGとも同時契約 |
| PayPal | デジタル決済パートナー | 英クラブ初の形態 |
特にAdidas移行の影響が大きい。Nikeとの旧契約は推定£30m/年程度だったが、新しいAdidasとの5年契約は£60m以上/年とされる。差額だけで+£30m以上が商業収入に乗ってくる計算だ。
そこにTommy Hilfiger・Haier・PayPalの新規加入が重なり、商業収入は£323.5m→£355〜370mへの大幅増を見込んでみる。
収入合計の試算
| 項目 | 24/25実績 | 25/26推計 |
|---|---|---|
| 放映権 | £263.7m | £257m |
| 商業 | £323.5m | £360m |
| 入場料 | £115.6m | £122m |
| 総収入 | £702.7m | £739m |
② 費用側:選手償却が£117m→£186mへ激増
ここが財務上の最大の変化だ。
5大補強の「年間コスト」に変換する
移籍金は一括で払うが、帳簿上は契約年数で分割して費用計上される(選手償却)。
| 選手 | 移籍金(£m) | 契約年数 | 年間償却(£m) |
|---|---|---|---|
| Alexander Isak | £124.7m | 5年 | £24.9m |
| Florian Wirtz | £107.5m | 5年 | £21.5m |
| Hugo Ekitiké | £81.7m | 5年 | £16.3m |
| Milos Kerkez | £40.3m | 4年 | £10.1m |
| Jeremie Frimpong | £34.4m | 4年 | £8.6m |
| 合計 | £388.6m | £81.4m |
この新規£81.4mに、前年から引き継いだ既存選手の償却(マクアリスター・フラーフェンベルフ・ソボスライ・ママルダシュビリ等)約£105mが加わり、合計£186m/年となる。前年の£117.2mと比べると+£69m増だ。
費用全体の試算
| 項目 | 24/25実績 | 25/26推計 |
|---|---|---|
| 給与 | £427.7m | £435m |
| その他営業費 | £185.6m | £190m |
| EBITDA | £102.3m | £114m |
| 選手償却 | △£117.2m | △£186m ⚠️ |
| 固定資産償却等 | △£14.5m | △£22m |
| 営業損失 | △£29.5m | △£94m |
EBITDAは増えても、選手償却の急増で営業損失が拡大する。
③ 「命綱」の選手売却益:今年も£100m超
2024/25と同様、売却益が財務を支える構図になる。
| 選手 | 移籍先 | 移籍金(£m) | 推定売却益(£m) |
|---|---|---|---|
| Luis Díaz | バイエルン | £60.2m | ~£47m |
| Darwin Núñez | アル・ヒラル | £45.6m | ~£12m |
| Jarell Quansah | レバークーゼン | £30.1m | ~£30m 💡 |
| Ben Doak | ボーンマス | £20.0m | ~£17m |
| その他 | 各種 | £7.1m | ~£10m |
| 合計 | £163m | ~£116m |
Quansahはアカデミー出身のため帳簿上の取得原価がほぼゼロ。£30mの移籍金がほぼそのまま利益になる。Díazも2022年取得分の償却がほぼ完了しており、約£47mの利益が計上される。
④ 試算結果:税引前£13m前後の黒字
| 項目 | 24/25実績 | 25/26推計 |
|---|---|---|
| 総収入 | £702.7m | £739m |
| 給与 | △£427.7m | △£435m |
| その他営業費 | △£185.6m | △£190m |
| EBITDA | £102.3m | £114m |
| 選手償却 | △£117.2m | △£186m |
| 固定資産償却等 | △£14.5m | △£22m |
| 営業損失 | △£29.5m | △£94m |
| 選手売却益 | +£53.3m | +£116m 💡 |
| 金融費用 | △£8.5m | △£12m |
| 税引前損益 | +£15.2m | +£10m(推計) |
黒字は維持できそうだ。ただしその中身は変化している。
- EBITDAは£102m→£114mへ増加(商業収入増だが放映権減で相殺)
- 選手償却が£117m→£186mへ急増(大型補強のツケ)
- 売却益が£53m→£116mへ倍増(これがなければ大幅赤字)
「稼ぐ力も上がったが、選手に使う費用も増えた。それを売却益でカバーして、なんとか黒字」——この構造は前年と変わっていない。
⑤ 気になる点:純負債が£283m→£402mへ膨張
利益の数字だけ見ると安定しているように映るが、ネット移籍支出£225mの大部分は借入で賄われており、純負債が前年の£282.7mから£402m程度に膨張する見通しだ。
| 指標 | 24/25 | 25/26(推計) |
|---|---|---|
| 純負債 | £282.7m | ~£402m |
| 金融費用/年 | £8.5m | ~£12m |
構造的なリスクとしてはチャンピオンズリーグの有無では。
CL出場で放映権収入に約£80〜100mのプレミアムが乗る。もし来シーズン(26/27)にCLを逃せば、放映権収入が一気に落ちる。そのとき選手償却£180m超を抱えたまま黒字を維持できるかは、相当難しくなる。そのため財務的な視点でのイラオラの任務はCL圏内以上となりそうだ。
参考:Transfermarkt / Swiss Ramble / 各種報道(2026年6月時点)

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